展示内容

天下祭と山王さん ~江戸っ子は、山車に絵巻に、木遣り唄~|アーツ千代田3331 特別企画展

2. 祭の始まった江戸

江戸時代の山王祭・神田祭の巡行行列は神輿中心の現代と異なり、各氏子町から出される趣向を凝らした山車や附祭が重要な要素となっていました。当時の祭列行列の華やかさを物語る絵巻や祭礼番附・屏風、かつて山王祭の折に日本橋本町などが出していた山車人形(複製)、そして山王祭の名物となっていたゾウの造り物などをご紹介していきます。

〈東都歳事記より〉
工夫を凝らした山車の中でもとりわけ大きかったと言われる象のひき物は、将軍の上覧に供するために江戸城内に入ろうとしたところ、半分しかくぐることができなかったという逸話もあります。「東都歳事記」四巻に記録されたこの象を、本展では実際のひき物のサイズに近い大きさに出力展示します。当時の祭礼行列を体感できる、ここでしか見ることのできない展示です。

〈山車人形 「辯財天(べんざいてん)」〉
江戸の祭の中でも、最も壮観にして美麗と言われた山王祭の山車行列。江戸城内を練り歩いた45もの山車の中から、辯財天の山車人形(高さ2m/模造)と山車を飾った四方幕(長さ約4m/複製)も合わせ展示します。[石岡市金丸町蔵]

〈絵巻「山王祭礼之図 第一巻」〉
第一巻は16.5m、第二巻は13.6m、第三巻14.91mの総長約45mに及ぶ絵巻のうち、第一巻を解説付きで展示。行列の中に並ぶ人々の衣装、出し、小道具など、それぞれを絵解きし、細部まで読み解くことができます。[作者不詳/個人蔵]
*注釈/出し・・・尖っている鉾(ほこ)状の頂の飾りや造り物を「出し」といい、民俗学では祭りに降臨する去来神の依代。その後、山車(だし)へと変化してゆく。


〈江戸天下祭図屏風〉
文政七年(1824)につくられたとされる江戸天下祭図屏風(横幅約2m/高さ約1.6m)は、ユニークな仮装の様子や、山車のかたちが鮮明に見て取れる屏風絵です。ひとり一人の表情まで豊かに描かれているため、じっくり鑑賞していただくのがオススメです。[神田神社蔵]


〈そのほかの展示物〉
錦絵・山王祭禮之図(複製)/立版古(魚河岸・加茂能龍神人形山車)(複製)/番附[文久二年、文久三年、天保八年、天保九年、天保十二年、天保十三年](複製)/太鼓山車人形「天狗」(鞍馬山)内神田鎌倉町会/てけてん小僧・頭部(複製)/江戸名所図会第三巻「日吉山王の神社」(境内全貌)(複製)/江戸名所図会第一巻「永田馬場山王御旅所」(山王祭)(複製)他